清澄白河は、こと「食」については不毛地帯である。会社帰り、地下鉄を出て清洲橋通り沿いに歩くときに押し寄せる寂寞。草木の生えぬ暗い夜の砂漠を歩くような心持ちは、誰もが暗に共有するものであろう。
1月の半ば頃であったか、清澄白河駅B2出口を出て、ふと道路の向こう側をみると、最近竣工したらしいマンションの1Fに、何やら設営準備を行なっている様子が目に入った。清澄白河住人としては心躍る瞬間である。一体どんな店が入るのか。この荒涼たる清澄砂漠を救うオアシスとなり得るのか。
数日後。欣喜雀躍たる思いといっては些か大げさであろうか。いや、あの時、B2から出て見えた「Cafe」の看板が見えた時に感じた、あの心躍る瞬間は、席替えで好きな子が隣になったときの思いそのままであった。「何Cafe」なのかはよく読めなかったが、兎にも角にも「Cafe」である。コーヒーも飲めるし、飯も食える。否が応でも期待は高まった。次の休日に一つ、予定が加わった。
かくして、オアシスから戻り、こうして文字を打ち込んでいる次第である。
入店は午後8時近く。7割ほど席は埋まっていた。
メニューは先に投稿された方がおっしゃるとおり、オーガニック素材をふんだんに使用した「素材活かし系」料理中心である。店内は北海道から仕入れたという無農薬野菜が陳列されており、販売も行なっているそうだ。
ボトルワインをいただき、野菜を数皿いただいたら、良い感じに酔いがまわった。締めにコーヒーといきたいところだったが、持ち帰って続きを楽しむのもよかろうと、「チコリー」のコーヒーを購入。それって草では?そう、草である。正確にはコーヒーではなく、”コーヒーの風味に近い飲み物”だそうである。チコリーの根を焙煎し粉末にしたもので、普通のドリッパーで、まさにコーヒーと同じように使用する。200gで1,300円という価格だが、少量(感覚では通常の豆の倍の濃さ)でたくさん飲めるのがうれしい。味は一癖あり、コーヒーとは似て非なるもの。好みは分かれそうだが、「こんなものか」と飲めば、さほど気になる癖でもないと個人的には思った。「藤堂プランニング」で買ったチーズケーキでも添えれば、高レベルな昼下がりを演出できよう。
一度だけの訪問ではあるが、近隣住民としてもう少し深くこの店を知っておかねばならない。次の休日はランチ時にお邪魔してみることとしよう。
敢えてひとつ、難癖をつけさせてもらいたい。
入り口正面奥の棚の上部、観葉植物が空調の風の直撃を受けて今にも枯れそうであった。瑞々しいメニューに、枯れ草は御免である。
—